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第15回四国中央市長杯、島根旋風。

 中四国にその名を轟かせたのではないだろうか?

 A:「島根てどこなの?」

 B:「鳥取県でしょ?」

 5月3日(金)、スカイフィールド富郷に降り立った直後、そんな話声が聞こえたきがした。

 

 愛媛県は四国中央市、第15回四国中央市長杯という歴史のある大会に参加した。島根ジュニアは8選手。中学生(ジュニア)ラグビーは12人1チームで試合をするため、本大会には尾道ジュニア(RS)と合同で試合に臨んだ。

※ラグビー界では、「ジュニア」は中学生、「ミニ」は小学生を指す。

 

 試合結果は予想以上のものであった。初日は1勝1敗、二日目は1敗1分。

 

 終わった後なので、なんとでも言えるのだが、どちらの「敗」も、負けた気がしない「敗」であった。決して強がりを言っているのではなく、そこにいた関係者なら、誰しもがそう感じたはずだ。

 

 何より、本大会を通じて、ミニの際にコテンパンにやられていた県外チームと、対等(以上)に闘えるということを、選手自身が確信したのではないだろうか。

 

 対戦相手からすれば、「こんな奴らいたっけ?」と・・・まぁ、そんな感じだろうか。

 

 島根ジュニアは現在、保護者の皆様の多大なるご理解、ご支援を得ながら、週2~3回の練習を実施している(おそらく、中四国地方では最多?)。また、高校生、高専生、社会人チームからもバックアップを受けている。そして、熊谷ヘッドコーチによる的確な指導もあり、選手たちはスポンジのように知識や技術を習得(吸収)している。事実、この日も試合直前に修正したことを、試合中に即座に実践に移すなど、これまででは考えられないことをやってのけている。

 

 こうしたアクションは、各選手が「考えながら(意識しながら)ラグビーをしている」ことの表れである。もう、ハナタレ小僧は、島根ジュニアには誰一人いない。ビデオを撮影しながら、涙腺が緩んだ。

 

 もちろん、いいことばかりではない。選手それぞれが、課題に感じたこともあるはずだ。それは、コーチ陣も然り。

 

 グラウンドサイズは、ミニの3倍以上。コンタクトは激しさは増す。そうした状況に耐えられる体力づくり。実感した選手もいるのではないか。

 

 10分前後半を、常に100%の力で走り切ることは難しい。しかし、体力の不安から、常時6~7割の力で10分間ダラダラと走り回ることで勝てるほど、甘くはない。「メリハリ」が重要である。常に「考え(意識し)ながら動く」ことが求められるのは、そこだ。

 

 島根ジュニアの選手は、もっと積極的にラグビーに触れて欲しい。youtubeには国内外の良い試合が数多く転がっている。素材は溢れている。わからないことがあれば、メモをし、コーチに聞きに行こう。「大人は使ってなんぼだ。」私は恩師に、そう教わった。

 

 コーチも、選手に応えられるよう、努力を怠ってはいけない。歩みをやめれば、瞬く間に選手に抜かれてしまう。日々勉強である。(←自分へのメッセージ)

 

 デビュー戦を無事に終えた選手たちは、帰りのバスでも疲れた様子をみせない。なんて強い子たちなんだ(意味深)。

 

 時間の関係で、閉会式には出られなかったが、島根ジュニアは、確かな爪痕を残した。大事なのはこれからだ。負かしたチームに追いつかれないように、負けを喫したチームを追い越すために、しっかりと練習に励まないとならない。さぁ、島根に戻り再スタートだ。

 

 A:「島根ジュニアってなかなか強かったよな。」

 B:「そうだね。また試合したいな。」

 A:「そういえば、島根って鳥取の左だよね。」

 帰り際、サブグラウンドの本部席周辺で話している会話を、私は確かに聞いた。